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■人を殺す哲学的理由

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フランコ・ベラルディ『大量殺人の“ダークヒーロー” なぜ若者は、銃乱射や自爆テロに走るのか?』杉村昌昭訳、作品社 杉村昌昭さま、ご恵存賜りありがとうございました。 これはすごい本です。大量殺人者たちの精神分析は、いかにして可能なのか。考えさせられます。 ペッカ = エリック・オーヴィネン。彼は、自分が人を殺す理由を、哲学的に詳細に説明します。 「私はシニカルな実存主義者であり、反人間的ヒューマニストであり、反社会的ダーウィン説の信奉者であり、・・」と。 自分のウェブサイトに、「自然淘汰宣言」を書いています。それによると、こんにちの自然淘汰は、あやまった方向に進んでいる、逆行している。知恵遅れの愚か者や卑怯者が、知的で強壮な人間よりも、大量かつ急速に再生産されている、と。 近代人は、自然の淘汰メカニズムを、別のシステムに代えてしまった。それが問題だというわけですね。死や殺戮は、悲劇ではない。それは自然のなかでは、いつも起きている、とも。 「私は、正当で公正で真理だと思っている理由で、死ぬ用意をしている。・・・仮に私が敗北しようとも、あるいは私がおぞましい人間としてしか記憶されないとしても、・・・私は長く不幸な人生を生きるよりも、戦いを挑み死ぬことの方を選ぶ。これは私の戦争なのだ。人類に対する戦争、世界中の政府や愚かな大衆に対する戦争なのだ。大地のクズに哀れみは必要ない !  “人間は過大評価されている”。今や“自然淘汰と強者の法”を復活させるべきときなのだ。」 (53)  力の論理・力の思想が、そのような論理を否定する弱者たちに対する殺人を正当化する。しかし殺人する自分は、そうした弱者たちよりも支配力において弱者であることを認めている。この倒錯がいかにして生じるのか。人間は、自分よりも支配的な力のある人間を、さらにもっと支配的な力のある人、あるいはそのような思想の力を借りて、否定する。そういうことだろうか。

■ケインズの家族たち

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ピーター・クラーク『ケインズ 最も偉大な経済学者の激動の生涯』関谷喜三郎/石橋春男訳、中央経済社 関谷喜三郎さま、石橋春男さま、ご恵存賜りありがとうございました。 母のフローレンスがメイナード・ケインズを生んだのは、 22 歳のときでした。そしてフローレンスは、ケインズよりも 12 年、長く生きました。 フローレンスは、ケンブリッジで最初の女性市会議員となり、その後、市長になります。 フローレンスはまた、息子のメイナードが『平和の経済的帰結』を出版すると、ケインズに関する新聞の切り抜きを始めた。年代別にスクラップ・ブックまで作っている。優秀な長男をもったフローレンスは、こうして息子の活躍を記録していたのですね。  メイナード・ケインズの妹、マーガレット。彼女の夫である A.V. ヒルは、 1922 年にノーベル賞(生理学)を受賞。  メイナード・ケインズの弟、ジェフリー・ケインズ。彼は後に、外科医となり、さらに書誌学者になった。彼は、チャールズ・ダーウィンの孫娘と結婚している。  こうみるとエリートの家系ですね。