■市場と環境の好循環
ティム・ミンシャル『世界は〈モノ作り〉でできている』田畑あや子訳、作品社 作品社編集部さま、ご恵存賜りありがとうございました。 本書は、さまざまなモノ作りの現場を歩いて、いろいろな知見を伝えています。とくに後半が面白かったです。持続可能な世界のために、私たちは何をどのように生産すればよいのかという問いに、迫っています。 住居、食品、衣料。これらの領域では、製造業の根本的な見直しが必要というのですね。これらの商品を安価に迅速に供給する現在の製造システムは、人類の長期的な生存の可能性を自ら損なうシステムになっているのだと。 1920 年代のシステムは、デザインを変えて古いモデルを陳腐化し、新しいモデルを購入させるようにするものでした。しかもそのようなビジネスは、賢明だとみなされていました。古いものを使って新しいものを買わないのは、利己的だ、という人まで現れたのですね。 このビジネスは、いまでも通用しています。消費者が新しいモデルを買わなくなったら、古いモデルをリバイバルさせて、新たに売ればよい。そのような方向に消費が成熟していくこともあります。 本書は、 Carbin Re’ や、ジーノロジアや、ブリティッシュ・シュガーといった会社のように、ゼロ・ウェイストを自発的に目標にすることが、結果として市場における競争力を増すという、市場と環境の好循環を展望しています。すぐれた製造業者が生き残る。私たちは消費者として、そのような社会を手助けすることができるでしょう。政府もそのための制度条件を作ることができるでしょう。 では、どんな政策が必要なのか。また私たちは、どんな情報に注目して消費すればいいのか。本書は実践については述べていません。面白いのは、本書のペーパーバック版のあとがきに、本書に寄せられた質問がリスト化されていることです。 「修理可能性」を考慮した設計が必要ではないか。 「修理可能性指数」の国際版は、手がかりになるのか。 こうした問題に、私も関心を持ちました。すでに検討している人がいるかもしれません。