■日本人は日本の映画を見るようになった
間々田孝夫『幸福のための消費学』作品社
間々田孝夫さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
「グローバル化」や「グローバリゼーション」という言葉が、一時期はやりました。
この言葉を含むタイトルの本は、どれだけ出版されてきたのか。国立国会図書館の図書検索で、検索してみると、2004年がピークで、314冊でした。ところが2023年には、36冊にまで減っているのですね。
しかもこれは、たんに言葉の流行が終わったという問題ではなく、社会の実態として、グローバル化とは逆の流れを示している。
例えば、映画産業です。
2005年は、邦画:洋画の興行収入比は、41.3%:58.7%でした。
2024年は、邦画:洋画の興行収入比は、75.3%:24.7%になりました。
つまり日本人は、諸外国の映画を見なくなった。これはまさに、グローバル化とは逆の動きです。
「グローバル化」というと、コカ・コーラや、マクドナルドのハンガーガーや、スターバックスのコーヒー、というイメージがあります。しかし例えば、韓国映画は、あまりグローバル化のイメージがありません。むしろローカルなイメージです。「多国籍なローカル化」、と表現した方がいいかもしれません。
世界はいま、アメリカ文化を中心とするグローバル化を相対化しているのかもしれません。そして日本人は、日本の映画を見るようになった。これはたんなる文化ナショナリズムではなく、なんと表現すればいいのでしょう。脱グローバル化と呼ぶべきなのか。新たな言葉と分析が必要と思いました。