■「天」と「神」の違いについて

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橋爪大三郎/大澤真幸『げんきな日本論』講談社現代新書

橋爪大三郎さま、大澤真幸さま、ご恵存賜りありがとうございました。

天を祀るのと、神を祀るのとは、どう違うのか。
天を祀る場合ですが、天は「祖先」ではありません。
しかし神を祀る場合、その神が「氏神」であれば、祀る人の祖先が祀られる神になる。それは自然な紐帯であり、絶たれることがありません。
 天皇家も、アマテラスとか、その系統の「神」を祀っていて、それを祖先だとみなしている。そうだとすると、神との関係は切れていないことになる。神との関係が切れていないとすれば、その正当性を否定する革命はきわめて起こりにくいですね。
 ではなぜ、日本に「天」がないのでしょう。
 もともとあった血縁関係を超えて、大きな国家・帝国を作るためには、血縁関係とは無関係の原理が必要です。
それが「天」です。天との関係で、皇帝は皇帝になるわけです。皇帝は、由緒正しい家柄だから皇帝になれたのではなく、「天命」によって皇帝になる。

 ところが日本の場合は、カミは、どこかの氏族と特別な関係をもち続ける。オオキミはやがて「天皇」と呼ばれるようになりますが、「天」との関係は希薄です。オオキミは、ランクの高い氏族であって、血縁的な共同性の原理を脱していないのですね。



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