■相国寺に寄宿した信長
中井裕子『室町・戦国時代の相国寺領荘園』相国寺教化活動委員会
中井裕子さま、相国寺教化活動委員会のみなさま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
室町時代に、相国寺領の荘園が全国的に広がっていく、その広がりと分布の特徴が、詳しく分析されています。
興味深いのは、織田信長が京都に入って政権をとる際に、一時期、相国寺で暮らしていたことです。
1569-1573年のあいだは、信長は妙覚寺で暮らしていた。このころの妙覚寺は、二条室町付近にあったのですね。
その後、1574年の三月から翌年の七月まで、信長は相国寺で暮らしたのですね。約一年半ですね。
信長が相国寺に寄宿することで、相国寺にはおそらく、大勢の兵士たちが暮らすようになったでしょう。それで僧侶たちは追い出されたでしょう。お堂を「厩(うまや、馬小屋)」にしたり、部屋を取り壊したりしたことが、推測されるというのですね。
信長が相国寺を選んだのは、その前年に将軍の足利義昭が亡くなり、それで将軍に代わって朝廷を守るために、相国寺の場所が適していた、というのですね。