■今年聴いた音楽5選(2024)


 那須耕介さんが亡くなられて、3年と3か月が経ちました。皆様、いかがおすごしでしょうか。年の瀬が迫ってまいりました。

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 今年私がYouTubeで出会った音楽のリストをご紹介します。110曲くらいです。

 

https://www.youtube.com/watch?v=kKPY_VzZ3EM&list=PLFExZbc_M4ZO_Sffukx_ZaFN0iJ3kBxyR

 

 今年は、1月に沼野雄司著『トーキョー・シンコペーション 音楽表現の現在』音楽之友社を読んで、大いに刺激を受けました。

昨年は雑誌「レコード芸術」が休刊となり、クラシック音楽ファンにとっては残念なニュースでしたね。沼野さんは、それまで「レコード芸術」にエッセイを寄せていたのですが、余儀なく中断されました。本書は、それまでに寄せられた連載のエッセイと、その続きを収めています。

とくに、現代日本の作曲家たちの紹介が興味深いです。まだCD化されていない、けれどもYouTubeで聴くことができる、最新の日本現代音楽のシーンがたくさん紹介されていました。私と同世代、あるいはさらに若い世代の作曲家・演奏家たちが活躍しています。その創作活動から、大いに刺激を受けました。

一方で、今年の夏、私は韓国に行く機会がありました。この機会に、韓国の「国楽」と呼ばれる伝統音楽のCDを、ネットでいろいろ調べてみました。するととても興味深い。韓国の国楽のCDは、YES24というサイトで検索したり購入したりすることができます。

https://www.yes24.com/Mall/Main/Music/003?CategoryNumber=003

日本にも「雅楽」がありますが、韓国の場合、政府が国楽の演奏家たちを育て、そのなかから国民的な音楽が生まれています。YouTubeにも、すてきな国楽の演奏がたくさんありました。国楽は、観光資源としても文化資本としても、きっと多くの人を惹きつけるでしょう。また、韓国では国楽の一部が現代音楽化して、真に芸術的な音楽が生まれています。私は一時期、国楽の沼にはまりました。

 今年、印象に残った音楽をあえて5つ選んでみますと・・・

 

■まず、バリジャシュリー(Varijashree Venugopal)のファースト・アルバム。

https://www.youtube.com/watch?v=8uBJzibp-XI&list=RD8uBJzibp-XI&start_radio=1

これまで多くのミュージシャンとセッションをしてきたバリの待望のCDです。

ベースはVictor Wooten、ギターはHamilton de Holanda。異色の組み合わせですね。アルバム全体としての完成度はどうか分かりませんが、この曲はすばらしい。

 

■第二に、カヤグム(伽倻琴)奏者、ジェオン・ヒョスン(정효성은Jeong HyosungのアルバムThe fantasy of staying on the string です。

https://www.youtube.com/watch?v=pNjXlbgo9sI

아르키메데스의 법칙(アルキメデスの法則)

いろいろな作曲家の曲を演奏しています。現代音楽のフロンティアです。

 

■第三に、パトリシア・ブレナンのアルバム「Breaking Stretch」。

Palo de Oros(Suit of Coins)の演奏風景を。

https://www.youtube.com/watch?v=ejTOidMh97E

強烈なエネルギーをもらいました。煮えたぎるものを表現してやろうという、燃える魂があります。

 

■第四に、Silvia Pérez CruzJuan Falúのアルバム「Lentamente」。

https://www.youtube.com/watch?v=vSAfKaDak0I

一つの世界ですね。おそらく那須耕介さんだったら買うでしょう。深くて悲しい。

 

■ここまで書いて、クラシック音楽を紹介していないことに気づきました。最後に

梅本佑利 - アニメ・現象学的還元 (2023)

https://www.youtube.com/watch?v=9QAmWViqJo8

着想も、声も、録音も、最高です。ぜひCD化してほしいです。

 

この他、今年は、児玉桃や児玉麻里のピアノや、作曲家マルティヌーのさまざまな演奏に魅了されました。どうも最近、私の耳は少しずつ老化してきたようで、この2-3年で、クラシック音楽を多く聴くようになりました。音楽の趣味はしだいに変化していきます。過去に聴いた音楽を聴き直すと、過去の自分に再会するようです。

 

以上、今年聴いた音楽の紹介でした。

先日、京都の個人書店の「誠光社」で、村上巨樹『ミャンマーCDディスクガイド 古典歌謡からEDMまで』というマニアックな本を見つけました。那須耕介さんだったらきっと買うだろうと思い、代わりに買いました。

https://seikosha.stores.jp/items/671207f0e1c1b900eb12766d

来年はこの本を頼りに、ミャンマーの音楽をYouTubeでいろいろ聴いてみようと思います。


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