■セントラル・パークの思想は自生化主義?

 

 

小川(西秋)葉子/太田邦史編『生命デザイン学入門』岩波ジュニア新書

 

小川葉子さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 

 ニューヨーク・マンハッタンのセントラル・パークが、どのようなコンセプトでつくられたのかが分かりました。

 ヨーロッパで「ガーデン」や「スクエア」とは、貴族制とともに発展したのですね。ある階級に属した人でなければ、利用できなかったのですね。しかしニューヨークでは「公衆衛生学」と「進化論」と「オープンスペース運動」が合体して、セントラルパークが建設された。これは公共的な運動だったのですね。

この公共運動は、都市に「肺」と「換気装置」を作る、という理念だったのですね。植物学や生物に詳しい知識人たちが、当時の公共性の言論をリードした、というのも興味深いです。

背景にあるのは、ユートピア的社会主義と、設計主義的ではない「自然なデザイン」の探求です。「自然の地勢を活かす」ということですね。あるいは「左右対称にしない」というのもコンセプトの一つです。

それから「超絶主義」。文明社会というのは腐敗・退廃している。だから超絶主義の考え方が必要。文明社会とは異なる「野生や天然の景観」を礼賛する思想が必要だ、と考えられたのですね。これはエマーソンやソローの考え方ですね。

 ニューヨークのセントラル・パークの建設運動は、私が「自生化主義」と呼ぶ考え方と似ていると思いました。


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