■子供の教育にもっと投資を
古市太郎『経済社会学から考える現代の地域協働』八千代出版
古市太郎さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
日本の家族形態は、ずいぶん変化しましたね。
1980年の段階では、夫婦と子供からなる世帯が42.1%で一番多かった。
ところが2020年には、これが25%に減る。代わって、単独世帯が38%で一番多くなったのですね。
また1989年の段階で、共働き世帯の割合は42.3%でしたが、2019年には66.2%になったのですね。大きな社会的変化です。
興味深いのは、「外食率」と「食の外部化率」です。
1990年以降、外食率は、少し減っています。これに対して食の外部化率は、少し増えている。しかしいずれも、それぞれ35-40%,40-45%の範囲内なので、あまり変化していませんね。これは私たちの食生活が、1990年以降、あまり変わっていないことを示しているでしょう。変化が大きかったのは、1975年から1990年にかけてでした。
大学等進学率は、全世帯でみると、大学と専修学校を合わせて73%ですが、生活保護世帯では、これが35.3%なのですね。2017年のデータです。(47)
ひとり親家庭の場合、大学等進学率は、上昇しています。2003年には43.2%でしたが、2015年(ごろ)には58.5%に上がっている。児童養護施設の子どもの大学等進学率も、少し上昇傾向がみられます。
ひとり親家庭、生活保護世帯、児童養護施設、この三つの家庭で、子どもたちが教育において不利な立場におかれないためには、何をすべきなのか。子供の貧困率を下げる、子どもの教育に投資する。そのような政策がもっと必要だと、改めて思いました。