■派遣労働者は自由か
大槻奈巳編『派遣労働は自由な働き方なのか』青弓社
大槻奈巳さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
この本のタイトルがいいですね。
2017年の厚生労働省の調査では、女性の大学等卒業者のうち、はじめて就いた職が有期・無期の派遣労働者の割合は、15-19%でした。これに対して、男性の大学等卒業者の場合、33-42%になるのですね。大きな違いです。
派遣労働者は、残業が少ないという特徴があります。
また派遣労働者の昇給については、男女の差はあまりないというのですね。
しかし、有期雇用の派遣労働者には、通勤手当が支払われていない可能性がある、というのは深刻です。(139)
では、派遣で働くことは、自由なのでしょうか。「いまの働き方に満足ですか」という質問に対して、「そう思う+ややそう思う」は40%です。
また、正社員を目指したいか、という質問に対して、「そう思う+ややそう思う」は、男女ともに、約60%です。
いまの働き方に満足せずに、正社員を目指している人たちが、実際に正社員になることができれば、派遣社員の働き方は、うまく機能していることになります。
派遣先の会社に対する不満については、男性と女性に大きな差があります。男性の派遣社員は、「定時に帰らせてほしい」とか「年次休暇を取りやすくしてほしい」といいます。しかし女性の派遣社員は、こうした問題に、それほど要求度が高くないですね。この結果は、意外でした。