■立憲民主党の支持層は排外主義を強く否定していない
桑名祐樹『社会階層と政治の分断 調査データで読み解く対立と格差』勁草書房
桑名祐樹さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
日本人の投票行動と政党の関係について、独自の統計分析をしています。
まず、社会意識の違い、例えば「リベラル」と「保守」の違いによって、投票行動に差が生まれないというのは、興味深いです。
例えば、「いまの日本社会は格差が拡大している」と思っている人と、そのように思っていない人がいるとします。この場合、格差の拡大を感じている人の方が、社会問題に敏感で、投票する傾向が高くなるのではないかと思いますが、そうでもないという結果なのですね。
ただ、大卒と非大卒で、大卒の人の方が投票する傾向にあるのですね。
立憲民主党の支持層は、大卒が多いです。大卒の人たちは、あまり格差が拡大していないと感じていて、しかも競争社会を肯定する傾向にあります。とはいえ、立憲民主党の支持者は、大卒が多いとはいえ、格差の拡大を心配し、競争主義の社会は良くないと考えます。つまり、立憲民主党の支持層は、大卒の人たちの中で、ややマイナーな人たちである、ということになります。
ただ、2009年に民主党が政権を執ったときには、広範な人たちに支持されました。
「所得をもっと平等にすべき。」
「生活に困っている人たちに手厚く福祉を提供すべき。」
「競争は格差を拡大させるなど問題の方が多い。」
「権威ある人々にはつねに敬意を払わなければならない。」
「伝統や慣習にしたがったやり方に疑問を持つ人は、結局は問題を引き起こすことになる。」
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ。」・・・
このような質問に対して、答えが「はい」でも「いいえ」でも、どちらも民主党に投票したのですね。統計的に有意な偏りがなかったのだと。
ところが、2017年に結成された立憲民主党を支持した人たちは、再分配の拡大を支持しました。その一方で、支持者たちは、中国に対する排外主義を否定するわけではなかった(つまりナショナリズムの傾向が強まった)というのですね。
この分析から私が得たことは、立憲民主党の支持層は、権威とナショナリズムについて、そこまで強い意識を持ったリベラルによって支えられているわけではない、ということです。すでにこの時点で、従来のリベラル-保守の軸では、捉えられない支持層になっていたのだと思いました。