■ルター派は平等主義、カルヴァン派はリバタリアニズム





橋爪大三郎/大澤真幸『アメリカ』河出新書

橋爪大三郎さま、大澤真幸さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 ベンジャミン・フランクリンは、ドイツ系のアメリカ移民が「けしからん」、と言っていたのですね。当時のドイツ系移民は、貧しくて、自堕落な生活をして、低賃金に甘んじていた。しかしフランクリンによれば、ドイツ系移民たちがそのような生活をやめて「アメリカ化」できなければ、救われるべく運命づけられている共同体(アメリカ)の一員とはみなすことができない、と批判していた。救われるグループの一員でなければ、アメリカ的ではない、という精神論からの排除ですね。
 また、再分配率の問題で、シルグン・カールの研究を紹介している部分は、興味深いです。再分配率の高い地域(国)は、ルター派。反対に再分配率の低い地域(国)は、カルヴァン派。そしてその中間にカトリックが位置する、というのですね。アメリカはカルヴァン派の人たちが多いから、再分配率も低いという説明になります。

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