■今年聴いた音楽5選(2025)
年の瀬が迫ってまいりました。
皆様、いかがおすごしでしょうか。
最近になって気づいたのですが、私はすでに、ミッシェル・フーコーより長生きしています。これはどういうことでしょう。愕然としてしまいます。
フーコーは57歳と数カ月で逝去されました。ウェーバーは56歳で逝去されました。私はこの二人の巨人よりも長生きしているというのは、耐え難い事実です。
那須耕介さんが亡くなられてからも、すでに4年と3か月が経ちました。そしていま、私の音楽の趣味は、那須さんの趣味にしばられているようです。「これは那須さんが聴きそうな曲だな。だからもっと聴きこむことにしよう」という具合に、私の聴覚が動いてしまいます。テイストの影響というのは、恐ろしいですね。
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今年、私がYouTubeやSpotifyで出会った音楽のリストをご紹介します。100曲くらいです。
https://music.youtube.com/playlist?list=PLFExZbc_M4ZMX8xqEzzjgowGuxeoPgjqS
昨年も触れましたが、私はだんだんクラシック音楽を聴くようになりました。今年は40年ぶりに、スピーカーを買い替えたということもあります。しかしオーディオの機材よりもなによりも、心地よいと思う音楽そのものが変化していくのですね。変わらないのは、作曲家の創作エネルギーに刺激を受けたい、という傾向のみです。創作するという観点から、今年印象に残った音楽を5点、挙げてみます。順不同です。
■エドゥアルド・キプルスキー「平和への祈り~歌曲集」
https://music.youtube.com/watch?v=yrAeH2OJf-A
ロシア生まれで、現在はウィーンで活躍している作曲家・ピアニストです(1986-)。これまでピアニストとして、さまざまなアルバムを出してきましたが、このアルバムは作曲がすばらしい。
■Robin Verheyen / Robyn Schulkowsky / Goeyvaerts String Trio,“Jakob's
Mirror”
https://music.youtube.com/watch?v=MqlUNPiEvK4
「作曲家でありサックス奏者であるロビン・フェアハイエンは、故郷を遠く離れた地でインスピレーションを求め、コネチカット州のアルバース財団に隠遁し、オランダ=フランドルの画家ヤコブ・スミッツ(1855-1928)の生涯と作品について考察しました。個性的且つ時代を超越したスタイルで光と風景を捉えたスミッツは、フェアハイエン自身のアイデンティティ、記憶、そして帰属意識の探求に於いて、重要な導き手となりました。
アルバム「ヤコブズ・ミラー(ヤコブの鏡)」は、ヤコブ・スミッツのオマージュであると同時に、フェアハイエンの自画像でもあります。」
以上は、「東京エムプラス」による紹介です。https://www.tokyo-m-plus.co.jp/
■ミニョーネ、フランシスコ(1897-1986)「ヴァイオリン・ソナタ全集」エマヌエーレ・バルディーニ、ルーカス・トマジーニョ
https://music.youtube.com/watch?v=Hoi8sXzQWPw
フランシスコ・ミニョーネは、20世紀のブラジルを代表する作曲家の一人です。この曲、この演奏、いいですね。
■Leszek Mozdzer / Lars Danielsson / Zohar Fresco, “Beamo”
https://music.youtube.com/watch?v=yVbaWYOO_bQ
ポーランドのピアニスト、レシェック・モジジェル。調律の異なる3台のピアノで、1オクターブ12音階の限界を超える、新しい音楽の世界を切り拓きました。衝撃的で、しかも美しい。Disk Union評はこちら。
■最後に、Jaleel Shaw, “Painter of the Invisible”
https://music.youtube.com/watch?v=n9NAfopDYKM
すべてオリジナル曲です。ジャリール・ショウはこのアルバムで、新しい抽象絵画のような音楽のスタイルを発見したようです。
以上、今年の5選でした。この他、ハチャトゥリアンに関する映画を見て、ハチャトゥリアンのピアノ音楽に魅了されたり、台湾では、程璧(チェン・ビー)や蘇郁涵(スー・ユハン)のCDを発見して、刺激を受けました。