■プルードンは反ユダヤ主義者だった
作品社、編集部さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
本書の「訳者あとがき」(片岡大右)で、ジェームズ・スコット著『実践 日々のアナキズムーー世界に抗う土着の秩序の作り方』(岩波書店、2017年、原著は2012年刊)が紹介されています。このスコットの本は、国家(リヴァイアサン)の必要性を認めながらも、アナキズムというものが、私たちの思考と日々の生活を大いに活気づけるものだ、と主張しているのですね。
アナキズムというと、反国家体制の思想と思われがちですが、そのような思想にも、万歳三唱とはいかないけれども、万歳「二唱」までは賛同しうる。いわば「方法としてのアナキズム」を、日常生活と日々の思考に取り入れることができる、というわけですね。
本書『アナーキーのこと』は、父と子の会話というスタイルで、アナキズムの関する諸々の疑問に、ストレートに答えを出しています。
アナキズムの醍醐味、そして、アナキズムの危うい欠点を、それぞれ理解することができます。
最も衝撃的だったのは、プルードンが反ユダヤ主義者だったことです。プルーンは『手帳』で、ユダヤ人は消滅すべきだ、と書いています。
この人種に反対する論文を書くこと、この人種は万事を毒に塗〔まみ〕れさせ、あらゆる国に入り込みながらどの人民とも決してひとつにならない。[…]フランスの助成と結婚した者を除き、この人種をフランスから追放するようにもとめること[…]。ユダヤ人は人類の敵である。この人種をアジアに追い出してしまうか、さもなければ絶滅させなければならない。[…]火器を用いるのか融合させるのか、それとも追放か、いずれにせよユダヤ人は消滅する必要がある……。[…]熟慮のうえで、最終的な結論として、わたしはユダヤ人を憎んでいる。ユダヤ人への憎しみは、イギリス人への憎しみと同様、我々の政治的信念の一条項をなす。(以上、95頁の引用文を再掲)
このような憎悪が、アナキストのプルードンによって書かれたという事実を、私たちはどう受け止めたらよいでしょう。深刻な問題です。