■革命の可能なる代替行為とは
大澤真幸『可能なる革命』太田出版
大澤真幸さま、ご恵存賜りありがとうございました。
〈革命〉とは、本書では、「集合的な要求を通じて、事実上は不可能とされていたことを実現し、そのことで、状況の全体を一変させること」と定義されています。
例えば、日米安保を破棄すること。これは革命ですね。
しかしかりにこのような革命が成功したとしても、これは資本主義に対する革命ではなく、資本主義の外部に出る企てではないですね。
資本主義には構造的な欠陥があり、それはたしかに、私の社会を正当化不可能なものとして認識させる。しかし他方で、構造的欠陥を克服するための方法や、構造的欠陥を克服する社会体制を描くことができない。
そうした状況の中で、革命とは、資本主義の問題とは別の次元において、現状をラディカルに変容させることであり、それが例えば「日米安保の破棄」になるというわけですね。
資本主義に対する革命の、いわば「代替財」のようなものとして、「日米安保破棄」という革命がある。
それが代替的にみえるのは、闘争的な関係性を破棄して、根源的な意味での平和な関係性を築くという、共通点があるからでしょう。問題は、根源的な意味での平和とは、どのような社会的理想なのか、ということだと思いました。