■医療の民営化と第三の道


森臨太郎『イギリスの医療は問いかける』医学書院

森臨太郎『持続可能な医療を創る グローバルな視点からの提言』岩波書店

森臨太郎『ひとの病いと社会の病い』(2022-2023の共同通信連載稿の書籍化)

 

森臨太郎さま、ご高著三冊をご恵存賜り、ありがとうございました。

 

 『ひとの病いと社会の病い』で、国際的な非営利団体「コクラン」という組織が紹介されています。医療に関して、質の高い情報を分析して共有するという活動をしています。森さまは、この組織の日本支部を立ち上げられたのですね。

 『イギリスの医療は問いかける』では、日本の医療の美点が論じられています。ご自身も、予定日より四カ月半早く生まれた赤ちゃんの生育を支えるために、昼夜・曜日に関係なく働き続けた話に染み入りました。また、研修医たちは、飲み会においても、手術の手つきを練習している。そのような日々の振る舞いに触れられています。

 日本の医師や看護師や心理士などの医療関係者たちの質は、とても高いです。しかし問題は、長時間労働です。もし労働基準法を守ったら、医療そのものが成り立たなくなる、というのですね。これは深刻です。

 『イギリスの医療は問いかける』は、ブレア政権以降の英国で、「第三の道」の理念が、どのように医療制度を変更してきたのかについて、詳しく述べられています。「新しいリベラル」という次世代投資の観点から、大いに学びました。

 『持続可能な医療を創る』では、日本の医療の問題が指摘されています。市場メカニズムを導入する一方で、医療の分野に投資が進んでいない、というのですね。

 本書の最後に、「八つの提言」があります。医療の分野でも、事業の一部を民間に任せていますが、そのような民営化の政策がうまくいくためには、マネジメントを評価できる行政官の育成が不可欠です。科学的根拠に基づいてマネジメントを評価するために、予算を計上しなければならない、というのですね。

 この民営化のマネジメントを、「新自由主義的でダメだ」と批判する人もいるでしょう。すべての医療セクターを公的に運営すべきだ、という人もいるかもしれません。しかし限られた予算で質の高い医療サービスを提供するには、望ましい競争環境を創って、持続可能な経営を実現しないといけない。本書はそのための視点を提供しています。

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毎日新聞のインタビュー記事につきまして、訂正します。

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