■広告費はGDPの1.2%。

 




 

間々田孝夫/藤岡真之/水原俊博/寺島拓幸『新・消費社会論』有斐閣

 

間々田孝夫さま、藤岡真之さま、水原俊博さま、寺島拓幸さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 

 20年以上前に書かれた本の「改訂版」ですね。

今回、新たに三名の執筆者が加わり、内容をアップデートしています。この分野の教科書として、網羅的であり、情報が満載です。

 消費社会論の一つのテーマとして「広告をどう考えるか」という問題があります。広告に惑わされずに、主体的かつ自律的に商品を選ぶにはどうすればいいのか。そのためには、消費のプロモーションに対して、批判的に捉える思考力と知識を身につけることが、「消費社会論」の一つの重要な任務でもあります。

 2019年の時点で、日本における広告費の総額は、7兆円近くにのぼり、これはGDP1.2%程度になる、ということですね(36)

 平均して1%程度ということであれば、広告費というのは、それほど大きくはないように思われます。けれども商品によって広告費は異なり、広告費の割合が高いものもあるでしょう。あるいは広告間の競争が生じた場合に、多額の広告費を投ずることができなかった企業ないし商品は淘汰される、ということも起きるでしょう。消費者としては、こうした広告費の「ムダ」に気づいて、もっと賢く商品を選ぶ消費行動を身につけないといけないでしょう。

そのために必要な対策は、一つには、広告費の公開を法的に義務付けることかもしれません。あるいは、消費者は「広告」よりも「口コミ情報」を頼りにして、つまり、ユーザーたちが自発的に商品を評価するというボランティア的な言説を頼りにして、商品を選ぶことも、対策の一つになるでしょう。さらに言えば、「よい消費社会」とは、企業が広告費をかけずに、広告はすべて、消費者が自発的に担うような社会であるかもしれません。そのようなことを考えてみました。


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