■レギュラシオン理論と投資型リベラル

 



 

磯谷明徳/植村博恭編『制度と進化の政治経済学』日本経済評論社

 

植村博恭さま、横田宏樹さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 

 「進化の政治経済学」と「レギュラシオン理論」を接合するには、どうすればいいのか、というテーマですね。

成長レジームというものを、投資主導型、消費主導型、輸出主導型、に分けること。これは興味深いです。

また投資に関して言えば、長期投資に対する収益の期待がどのような特徴を持つのかに注目して分類することができる。例えば、投資によって生産財の生産が増加すれば、生産と中間投入(中間需要)の連鎖、すなわちレオンチェフ乗数過程が生まれるのですね。

また、中間財の需要と最終財の需要の区別も重要で、これは貿易収支に影響を与えます。

 投資が利潤シェアに強く規定されるときは、利潤主導型の成長になる。投資が需要に強く規定される場合は、賃金主導型の成長になる。

 消費主導型や輸出主導型よりも、投資主導型の経済成長が望ましいとは思いますが、しかし一般に、投資が成功するためには、それが生産に結びついて最終的な消費財の生産に至らないといけません。あるいはそのような生産の条件としての社会的共通資本に至らないといけません。

 成長レジームには、これらに加えて、金融主導型もあるということですが、いずれにせよ、レギュラシオンとポストケインズ派に共通する問題意識は「安定」であり、そのための調整である、ということですね。

 なお、旭川家具の分析で、旭川市は、家具づくりの産業化と地域化を強く推進したということですが、その後、何が問題になったのかというと、よりグローバルに、より多く売ろうとすると、森林や木の情報が希薄になる。それで家具づくりの背景が付加価値に結び付かなくなる、ということだったのですね。これはマーケティングをもっとうまくやれば克服できるようにも思いますが、そのためには地域の人たちがもっと多く、この家具づくりの産業化にかかわりをもって行動することが必要だというのですね。

 


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