■女性管理職を増やすには
駒川智子/金井郁編『キャリアに活かす雇用関係論』
大槻奈巳さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
国立女性教育会館が2015-2019年に実施した調査の結果が興味深いです。
昇進意欲は、入社一年目で、男性95.6%、女性67.8%なのですね。ところが入社5年目になると、男性84.3%、女性44.4%になってしまう。女性のほうが、昇進意欲を大きく低下させています。(65)
では女性は、どんなときに管理職への昇進意欲をもつのか。それは、「専門能力を高めたい」場合、また「仕事満足度」が高い場合なのですね。これに対して「主に女性が担当する仕事についている」と答える人は、昇進意欲が低いのですね。
別のデータで、2020年の「管理的職業従事者の割合と女性比率の国際比較」では、おそらく何をもって管理的職業と呼ぶのか、という定義の違いが大きいと思うのですが、日本では、管理的職業従事者に占める女性の割合が13.3%で、これは韓国の15.7%よりも低いです。欧米諸国との比較については、やはりカテゴリーが違うような気がします。
では管理職の人は、一般社員に比べて、どけだけ多く働いているのでしょう。日本の場合、一般社員も多く働いているので、一か月あたりの労働時間の差は、13時間弱なのですね。これはつまり、管理職の人は、一日あたり、30分から40分多く働いている、という計算になるでしょうか。
いま日本の企業で、女性を活用するために、何をすればいいのか。本書の分析から、いろいろ見えてきました。とくに、管理職の労働時間をもっと減らして、その職務内容を明確にして、女性が管理職につきたいという昇進意欲を高めていくことが重要なのですね。そのようにしてはじめて、女性の労働供給を増やすことができるのだと。