■ウェーバーの論稿「ヨーロッパ列強とドイツ」
小林純『続ヴェーバー講義 政治経済篇』唯学書房
小林純さま、ご恵存賜りありがとうございました。
小林純さま、ご恵存賜りありがとうございました。
ウェーバーは1916年の論稿「ヨーロッパ列強とドイツ」で、ドイツの歴史的使命について考えました。
ウェーバーによれば、ポーランド、リトアニア、ラトヴァ、ウクライナなどの弱小民族を、ドイツは大ロシアの専制から解放する役割を果たすべきである、と。これらの弱小民族が国民国家を形成して、しかる後に「ドイツ帝国」に依存することが望ましい、というわけですね。
とりわけポーランドの軍隊は、対ロシアとの関係において軍事的補強にもなる、と考えたのですね。
加えて、1918年の論稿「国内情勢と対外政治」では、ウェーバーは左派の考え方を批判しています。ドイツの左派は、ロシアにおける社会主義政権樹立に向かう動きを歓迎しました。しかしウェーバーのみるところ、ロシアは、社会主義であろうとなかろうと、帝国主義的な膨張を企てることは間違いありません。
ところが左派は、ロシアという権力装置に対する見方が素朴すぎる。「軍事的な大衆本能に依拠している政府(すなわちロシア)が、そもそも誠実な講和を結ぶこと」など、ありそうにない、とみたのですね。