■新自由主義は労働組合組織率を減少させる要因だったのか
田中拓道/近藤正基/矢内勇生/上川龍之進『政治経済学』有斐閣
田中拓道さま、近藤正基さま、矢内勇生さま、上川龍之進さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
政治経済学に関する大学生向けのテキストです。
労働組合の組織率の推移をみると(92)、スウェーデンでは1960年から2000年ごろまで増加傾向です。しかし2000年ごろを境にして減っています。労働組合組織率のピークは86%くらいでしょうか。2017年には、63%くらいまで減っています。スウェーデンでは2000年前後に、労働組合に関係する大きな制度変化があったのでしょう。
これに対して他の諸国では、概ね1960年以降、労働組合の組織率は少しずつ減少しています。ただしイギリスでは、1960年から1978年くらいまで、組織率が増加していて、1979年以降は急激に減っていますね。サッチャリズムに基づく労働組合改革が背景にあるのでしょう。これは新自由主義による改革ともいわれますが、しかしこのような労働組合組織率の急激な変化は、アメリカや日本の新自由主義改革においては見られません。
ちなみに韓国では、労働組合の組織率は1960年から1988年くらいまで増加傾向にあり、その後ゆるやかに減少していきますが、いずれにせよ韓国における労働組合組織率は、日本よりも低いですね。