■保守とリベラルの対立は、中国vs北欧諸国で考える
加藤雅則『組織は変われるか』英知出版
加藤雅則さま、ご恵存賜り、ありがとうこざいました。
本書の47頁で、エリン・メイヤーの「異文化適応のリーダーシップ」の図が紹介されています。「トップダウン型vs合意型」と「ヒエラルキー重視vs平等主義」の二つ軸で各国の組織文化を位置づけると、中国は「トップダウン-ヒエラルキー」型で、日本は「合意-ヒエラルキー」型になる。これに対して北欧諸国は「合意-平等主義」型で、アメリカやイギリスは、「トップダウンと合意の中間」と「平等主義」を組み合わせたタイプになるというわけですね。
この図式で「保守」と「リベラル」を考えると、保守というのは「中国」で、「リベラル」とは北欧諸国になる。日本はその二つの要素をもち、アメリカもまた、別の意味で二つの要素をもっている、ということになるでしょうか。
日本にとってリベラルとは、「ヒエラルキー」を排して「平等主義」に近づくこと、組織をフラットにしていくこととみなされています。でも、それはかなりラディカルな提案になるので、現実的なリベラルは、日本の文脈では、健全なヒエラルキーについての一定の基準を提案しなければならないかもしれません。
いずれにせよ、この図は、単純明快さとインパクトを備えています。保守とリベラルという対立図式は、中国と北欧諸国の対比で考える、という発想ですね。