■どんな憲法改正でも、成立すれば合法なのか

 



 

ヤニヴ・ロズナイ『憲法改正が「違憲」になるとき』山元一/横大徳聡監訳、弘文堂

 

瑞慶山広大さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 

世界中の憲法改正を比較分析するという、憲法学の新しいアプローチですね。若手憲法学者による、体系的な成果であります。

 かりに日本で憲法改正が成功した場合、その改正された憲法を、司法は違憲立法審査によって棄却することができるでしょうか。通説というか、一般的な憲法解釈によれば、それは難しいのですね。苫米地事件・最高裁大法廷判決(1960)において示された見解では、憲法の改正は、最終的には、国民の政治的判断に委ねられているのだと解釈するのが正当なのですね。

 しかし本当にこれでいいのか。日本においても、理論的・制度的に、憲法裁判所を創設するための知的資源の蓄積と構想案をめぐる議論を始めないといけないですね。

むろん、それよりもまず、日本人は、憲法改正の検討を、積極的に始めないといけない。フランスでは、1791年から1990年までの200年で、20回の憲法改正がありました。さらに1990年以降、現在までの約30年間に、19回も憲法を改正しています。二年に一回以上のペースですね。

 こうした憲法改正は、ポピュリズム政治によって悪しき方向に向かう可能性もあります。そのような可能性を防ぎつつ、健全な仕方で憲法改正のための制度的・立憲的な基盤を作っていくことが重要ですね。

 ホンジュラスでは、大統領の任期を、一期に限定することが憲法に記されています。ホンジュラスの国会は、これを改正する立法を成立させました。ところが、ホンジュラスの最高裁判所は、この立法を「無効」としたのですね。

その後、最高裁判所の裁判官のうち四名が議会によって解任されるということが起きます。これはもう、立法と司法の争いですね。このような争いを調停する機関はありません。最終的には、選挙で国民の判断を仰ぐ、ということになるでしょう。

 


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