■エッセンシャルワークに投資を


宮本太郎『社会保障改革の岐路 信頼のセーフティネットは可能か』岩波新書

 

宮本太郎さま、ご恵存賜りありがとうございました。

 

 20-24歳の男性の相対的貧困率は、80歳以上の男性の貧困率よりも高いのですね。これに対して、20-24歳の女性の相対的貧困率は、確かに高いですが、同年代の男性に比べると低いです。これはなぜなのか。この原因を解明して、20代前半の世代の所得を上げる必要があります。これは重要な課題です。

 他方で最近、AIの発展とともに、ホワイトカラーの職が奪われるようになりました。ある予測によると、2040年には、ホワイトカラーの定型業務において、270万人以上の余剰が生じるというのですね。AIは、日本の若年層の人口減少を補うのか、それともそれ以上にホワイトカラーの雇用を奪うのか。

 この問題は、政府が新たな製造業・情報・通信業に、どこまで人的な投資をすべきかに関わります。

本書の主張は、エッセンシャルワークの担い手に投資する、そのために、「地域密着型の社会投資」を推進する、というものです。

 

エッセンシャルワークを、AIを用いて高次化する。

 エッセンシャルワークを、誰でも担えるようにしていく(資格の壁を下げていく)。

 

 この二つの政策は重要です。

 1977年にスウェーデンの経済学者、イエスタ・レーンが提唱した「総合所得保険」というものがあります。これは各人にとっての「生涯労働時間」を設定して、定年退職や失業以外に、自分で自発的に離職して自由な時間を過ごせる仕組みです。これを日本でも導入すべきだというのですね。これを本書は、「引き出し権」と呼んでいます。

 さらに福祉国家の政策として、バーチャルな場を作っていく。例えば神奈川県鎌倉市では、「デジタル就労支援センターKAMAKURA」を設置して、企業から受託して、IT関連の仕事を切り出しして、短時間でも最低賃金で働ける仕組みを提供しています。政府は自治体を通じて、こうした「場」作りを支援していく。このような社会保障の仕組みが、いま求められているというのですね。

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毎日新聞のインタビュー記事につきまして、訂正します。

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