■米国のMAGAは軍事行動を批判する


三牧聖子編『「アメリカの戦争」と世界危機』岩波新書

 

三牧聖子さま、ご恵存賜りありがとうございました。

 

 2026年2月以降の米国とイスラエルのイラン攻撃は、自衛権の行使ではありません。国連安全保障理事会の承認を得てもいません。これは明らかに国際法違反である、というのが米国の国際法学者の見方です。

 ところが日本政府は、当初は米国政府に追従し、その後は「アメリカ・イスラエルの軍事行動には国際法上の問題がある」として、その軍事行動から距離をとるようになりました。

 背景には、イタリアのメローニ首相が、「反戦」という圧倒的な世論の勃興を受けて、「イランに対する戦争には参加しません」と表明したことがありました。メローニ首相は、イタリアの国益を守るために戦争に反対する、と言います。日本も国益を守るために、最善の対応をとらねばなりません。最善の対応とは、国際法と法の支配を重視して、米国の行動を批判することなのか。リアリストの観点から考えると、そうではない、ということになりますが、いろいろなリアリストの見方があるはずです。

 一方で、今回の米国とイスラエルによるイラン攻撃について、米国の世論は、攻撃開始直後にハメネイ氏が殺害され、大きな軍事的成功を収めた後でも、3割程度しか攻撃を支持していませんでした。これは、ベトナム戦争から撤退する時の戦争支持率と、ほぼ同じです。つまり米国民は、今回は最初から戦争を支持していない。

 米国にはMAGAという言葉があります。「アメリカを再び偉大に」という意味です。このMAGAは、歴代の政権が中東への軍事介入にのめりこんだことを批判し、雇用や治安などの国内問題に政治資源を注ぐべきだ、という意味で使われてきました。しかしトランプ政権は、MAGAを掲げながら、MAGAを裏切っている。

実際に、トランプの岩盤支持層=MAGAの一人であるジョージ・ケント(米国家テロ対策センターのトップ)は、イラン戦争に抗議して辞任したのですね。ケントによれば、トランプ政権は、イスラエルとそのロビー活動団体によって、イラン戦争へと誘導されてしまった。このような関係を改めなければならないと。

 今後の米国政治で、MAGAは戦争支持派と戦争反対派に分裂するのかどうか。注視していきたいと思います。

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毎日新聞のインタビュー記事につきまして、訂正します。

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