■自分の弱さを見つめ直す
横道誠/だいまりこ『自分の弱さを研究してみた。当事者研究という新しい冒険』教育評論社
だいまりこさま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
お二人のトークをまとめた本ですね。自分の弱さを見つめ直す。するともっとポジティブに生きられる。そのような勇気をもらいました。
だいさんは、次のように書いています。「…中学の時点で中退していますし、新卒で就いた仕事は10カ月で退職しています。子どもたちにも「嫌なことを続けていても仕方ない。嫌ならやめていい」と伝えています。」
「私は「叱られない」子どもでした。父は私よりも自閉スペクトラム症の特性が強くて、自分の関心ごと以外には興味がないから、子どもたちがすることにはお構いなしという感じでした。・・・すると家の外に出て叱られた際に、それを過剰に受けとってしまう。叱られたくないから、気に入られるような言動をしたり、演じて疲弊する、という繰りかえしでした。」
「私は大学生のときに大きく調子を崩して精神科を受診したんですが、そこで医師が「若い時にはよくあることだから大丈夫」と言ってくれたのは救いになりました。世界と自分のギャップに戸惑いつづけてきましたが、それは特別なことではなくて、よくあることなんだと思ったら安心できたんですね。」
人間というのは、すべての人が社会に完全適応したら、社会が変化したときに、誰も適応できなくなってしまう。社会が別の形態であっても成り立つように、将来の未知のリスクに備えるために、多くの人間を、そのまま適応しづらい状態にしておく。現代社会というのは、集団としての適応力を高めるために、「潜在的に可能な社会=別の社会=別の人がうまく適応できる社会」の数を増やしているのではないか。そのように考えました。
このように発想すると、いま、自分がこの社会に適応できていないことが、ごく普通のことなんだな、と納得します。それはルーマンの言葉で言えば、コンティンジェンジーですね。他でありうる可能性が増大している。自分が弱いのは、そして弱いままでよいのは、要するに、この社会には他の可能性がたくさんあって、別の社会になっても、私たちはその中でなんとか生きていくことができるようになっている。そういうことではないかと思いました。