■AIが代替しうる労働人口の比率は、日本で49%

 



 

斎藤修/古川純子『分水嶺にたつ市場と社会』文眞堂

 

古川純子様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 

 2014年から2017年にかけて、一連の論文で、カール・ベネディクト・フレイとマイケル・A・オズボーンが示したシミュレーションは、興味深いですね。今後、10-20年のあいだに、AIが代替しうる労働人口の比率は、日本で49%であると。総合事務職、その他一般事務職、会計事務職、庶務・人事事務、自動車運転、食料品製造、電気機械器具組み立て、などの他、公認会計士、弁理士、司法書士、プログラマーなどの高技能職も、代替される可能性が「とても高い」、という結果が出たのですね。

 AIの問題は、高技能職を奪っていくということです。単純労働だけが代替されるのではありません。高技能職でも、AIにできることがある。これは、人間にとって「やりがいのある仕事」を奪っていくことでもあります。

しかしAIによって代替される職業は、今後、「やりがいのない仕事」とみなされるようになるかもしれません。

 やりがいのある仕事は、これから少なくなるでしょう。すると「やりがい」とは、多くの人にとって、賃金や収入とは関係ないことになるかもしれません。

やりがいがある活動、価値があると思える活動は、収入が得られない。しかし政府は、それでも人々の「やりがい」を「生きがい」として提供するために、支援する必要があるかもしれません。

政府は失業対策をするだけでなく、人々のやりがい対策をすべきかどうか。例えば、「やりがい」を得るための最低限の支援として、孤立対策をする。あるいは社会的関係資本を高めるような政策をする。10-20年の単位で考えると、そのような社会的ニーズが生まれるのではないかと思いました。


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