■献身的なケアの記録

 



 

高井保秀『瑠美子、君がいたから 二人で歩んだ人生ノート』亜璃西社

 

高井保秀様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 

亡き奥様に捧げられた、奥様のがん闘病記であり、看病の記録であります。心を打たれました。生活や状況の細部が克明に記されており、文体もすばらしいです。

瑠美子はペンネームなのですね。奥様は4年半にわたり、脳に転移したがんと闘いました。2018年に64歳で亡くなられました。

 最後は会話できない状況での看病が続きました。それでも患者=奥様には周囲の声が聞こえている。そのような状況で、高井様の温かい精一杯の看病の様子が伝わってきます。看病に際して、高井様は会社を辞職され、できるかぎりの献身的なケアをされました。緩和ケア病棟では、ほとんどの日をいっしょに過ごされました。

また奥様の死後に、生前、奥様とよく散歩した手賀沼湖畔の公園に、愛犬と二人の連名でベンチを寄贈されました。

 奥様との札幌と米国西海岸での生活の様子も、鮮明に綴られています。私もよくテニスをしますので、親近感がわきました。人生というのはこのようにすすみ、そして終わりを迎える。本書は、そのような日常の生活と人生の展開が、温かく語られています。

人生は肯定することができる。ではそのために何が大切なのか。大きな波動とともに伝わってきました。

 お手紙にてご紹介いただいた、すすきのの居酒屋「たかさごや」には、いつか行ってみたいと思います。

 奥様と、それからお母様のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

 


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