■鈴木大拙とウェーバーの接点
横田理博「鈴木大拙とマックス・ヴェーバー」『理想』
横田理博さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
これは大論文ですね!
とてもスリリングで、ダイナミックで、知的に周到であります。恐れ入りました!
何よりも着眼点がいいです。1904年にアメリカのセント・ルイスで開かれた「芸術・科学会議」で、ウェーバーと鈴木大拙の二人がそれぞれ報告していた、というのですね。二人はこの会議に居合わせたのだと。
ウェーバーの報告は、農業事情に関する報告でした。鈴木大拙の報告は、10分間という短いもので、「仏教はニヒリスティックか?」というものでした。
この二人の報告は、ほとんど関連のないテーマですけれども、のちにウェーバーが「ヒンドゥー教と仏教」を書くときに、仏教については大拙の本『大乗仏教概論』(1907、ロンドン)を参照しているのですね。
では、ウェーバーと大拙の仏教理解は同じだったのかというと、違うのですね。しかも大拙はその後、考え方を変えたと。
大拙が『大乗仏教概論』で語った仏教は、大乗仏教一般ではなく、日本の大乗仏教に近いものだという解釈もあるのですね。ここら辺の読み解きは、とてもスリリングであります。日本における仏教の受容は、特殊であったがゆえに、近代資本主義の導入を容易にしたのかどうか。とても重要な問題に迫っています。