■リカードウは新しいリベラル
千賀重義/出雲雅志/佐藤有史編『リカードウ経済学再考 復元と創造に向けて』日本経済評論社
執筆者のみなさま、ご恵存賜りありがとうございました。
カール・ポランニーはかつて、リカードウもマルサスも資本主義の働きを理解していなかった、と批判したことがあります。二人は労働者の賃金水準が、生存可能なギリギリに押し下げられる傾向を「賃金法則」とみなした、というのです。しかしこのようなポランニーのリカードウ理解、マルサス理解は、誤っているというのですね。
リカードウの人生で特筆すべきは、ベンサムが進めた「クレストメイシア学校」(1814-1821)に、深くかかわったことです。この学校は、貧民の子どもたちに、効率的な教育を提供しようと試みました。このような事業に、リカードウも寄付をしたのですね。
当時は社会的地位のある人たちが、慈善事業をしたり、あるいはそのような事業に寄付をすることが盛んでした。寄付をする際には、一人で寄付をするよりも、知人に手紙を書いて、寄付のお誘いをする。リカードウは、ミルに誘われて寄付をしたのですね。寄付を誘う文化というのは、いいですね。
この他、リカードウは、ブルームという人物が推進する幼児学校に寄付しています。リカードウはマルサスと比べると、進歩主義、新しいリベラルと言えます。次世代支援によって、労働の価値を高めることに意義を認めたのですね。興味深いです。(本書第五章、出雲雅志「リカードウの学校」参照)