■新渡戸稲造の帝国主義的な側面





𢎭和順・佐々木啓編著『新渡戸稲造に学ぶ ― 武士道・国際人・グローバル化』北海道大学出版会

権錫永さま、ご恵存賜りありがとうございました。

 新渡戸稲造は、国際主義者、自由主義者であると同時に、帝国主義者でもある。そういう矛盾した面を持っている、というのですね。
新渡戸稲造は、エッセイ「枯死国朝鮮」(全集第五巻、80-82頁)のなかで、朝鮮人が「有史前期に属する」として、土葬を基本とする「死の風習」について書いています。
土葬なので、朝鮮の山野は墳墓に満ちている、と。また、道端には埋葬されるべき柩(ひつぎ)が並んでいる、と。
新渡戸は、こうした観察から、風習の社会的意味を、朝鮮という国の「死」に結びつけている。他の人が書いた同時代の朝鮮旅行記と比較すると、新渡戸はまるで、朝鮮の「死」の兆候を集めることを目的としているようだ、という指摘は重く受け止めなければなりません。

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