■転勤と給与とジェンダー
大槻奈巳編『ジェンダー公正な人事制度とはなにか 雇用管理区分・転勤制度・見直しの実態と課題』勁草書房
大槻奈巳さま、執筆者のみなさま、ご恵存賜りありがとうございます。
本書の調査によると、一回も転勤したことがない人は、男性で44%、女性で57%。回答者の2/3は転勤したくない、と答えています。転居を伴う転勤は、家族の負担が大きいと答えた人は85%でした。
雇用管理として、全国どこにでも行く被雇用者、それとも行かない被雇用者、という区別があります。勤務地の限定を希望した場合の給料は、全国転勤型の80-90%程度になります。昇進も制限されることが多いです。
本書で調査したある会社では、男性の8割は、勤務地を限定せず(つまり全国どこでも行くことを選び)、業務範囲も制限も設けない、という選択をします。これに対して女性の6割は、転居を伴う転勤なしを選び、特定業務のみを選択します。
こうした状況で、「ジェンダー公正」を実現するためには、どうすればいいのか。それは「転居を伴う転勤なし」で「特定業務のみ」でも、女性を差別せずに昇進できるような雇用体系にすることが必要だ、というのですね。また、転居を伴う転勤をして、職業能力が上がったと回答する人は、約半数にとどまるというのですね。
女性の方が男性よりも、家族を優先してしまう(家族に負担をかけたくないので勤務地を変えたくないという)。このような状況で、女性の場合は、勤務地を変えなくても昇進できるように、アファーマティヴな制度支援をすることは可能でしょうか。あるいは子育中の社員に対しては、転勤を迫らないという配慮は、すでにあるのかもしれません。
女性社員に対するアファーマティヴな対応が、制度的に求められるのではないかと思いました。