■自衛隊法は憲法と同格の地位をもつか
大屋雄裕/安藤馨『法哲学と法哲学の対話』有斐閣
大屋雄裕さま、安藤馨さま、ご恵存賜りありがとうございました。
自衛隊法がそもそも法であるための根拠は、日本国憲法によって与えられます。しかし日本国憲法は第98条で、違憲な法を、法として認めないという無効性を主張できます。はたしてこの第98条をもつ憲法よりも、自衛隊法のほうが優位にある(自衛隊の存在はかりに違憲であるとしても自衛隊法は有効である)といえるのでしょうか。
法実証主義の立場に立てば、日本国憲法は帝国議会の議決という社会的事実によって根拠づけられていると考えられます。このような正当化根拠の与え方(認定のルール)は、自衛隊法の場合も同様です。自衛隊法は、国制constitutionにかかわる法であり、日本国憲法と同等の重要性を持つ。言い換えれば、同じように最高法規としての意義をもつ。もしこのように解釈するなら、日本国憲法と自衛隊法のあいだに、上下関係はないとみなしうる、というわけですね。
それにしても、1981年の段階では、自衛隊の存在を違憲とみなす憲法学者の割合は、80%を超えていた。ところが2013年の段階では、計算の仕方にもよりますが、違憲説をとる憲法学者は50%程度になっている。ずいぶん状況が変わりましたね。