■キティちゃんは反西洋的なアジア的近代文化の象徴







クリスティン・ヤノ『なぜ世界中が、ハローキティを愛するのか?』久美薫訳、作品社

作品社編集部さま、ご恵存賜りありがとうございました。

私も小学生のときにサンリオ・ショップでキティちゃんに出会いました。あのころはまだ、キティちゃんが生まれたばかりでした。それがいまや、キティちゃんはグローバルな人気者になっています。
 キティちゃんは、フェミニズム系の人たちから叩かれることがあります。というのも西洋人は、「人は努力して幸せにならなければならない」と考えます。しかしキティちゃんは、そういうタイプではない。
アジア系の女性は、幸せに対して前向きな自分を演出することに、ためらいを感じます。「従順でおとなしいアジア女性」。そういう理想を、キティちゃんは表現しているようにみえるというわけですね。口のないキティちゃんは、「自己主張しない人間」の、いわばシンボルとしてみられる。キティちゃんは、西洋的な価値観に反するのだ、と。
 それにしても、第三章では、「キティ叩き」について、たくさんの情報が集められています。これほど強烈だとは驚きました。
 キティちゃんは、反西洋的なアジア的近代文化の象徴。それが世界で愛されているのですね。

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