■マルクス経済学の信用論

 




 


マルクス経済学の現代的課題研究会編『マルクス経済学 市場理論の構造と転回』桜井書店

 

柴崎慎也さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 

 宇野派経済学の最近の研究成果をまとめた本です。

 商業資本と比較すべきなのは、銀行資本を含む信用制度ではなく、なによりもまず、商業信用であり、それは個別産業資本における信用取引である、ということですね。これも信用制度といってよいと思いますが、銀行を経由せずに成り立つ信用であります。

 この商業信用とは、生産者が信用でもって生産手段を買う、ということですね。そのような信用買いができる市場制度が組織化されていなければなりません。ここで生産手段が「工場」のような固定資本だと、個別産業資本のイメージを超えると思いますが、しかし原材料という資本であれば、個別産業資本の内部というイメージになるかと思います。

 原材料を信用取引で買う。しかも銀行を経由せずに買う。そのような市場の組織化がすすむと、さらに先物市場が成立するでしょう。銀行を経由せずに、このような市場のシステム化がすすむと、市場はその安定性を増すことができる。そういう論理的可能性について、指摘するということですね。


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