■新渡戸稲造の講演



 

関西学院史紀要第24号、第25

 

井上琢磨さま、ご論文「戦間期関西学院における「恒久平和」運動について」前・中をご恵存賜り、ありがとうございました。

 

いろいろな史実が整理されています。新渡戸稲造は、「今日までキリスト教信者は平和ということをあまり考えなかったようである」として、それは幾多の人を殺したコンスタンティヌスが、キリスト教を許したことで、カトリックはコンスタンティヌスを聖者としたのだけれども、それによってキリスト教は腐敗したと理解するのですね。コンスタンティヌスによるキリスト教の国教化は、キリスト教徒カトリックを腐敗させたと。

 新渡戸は、一人のプロテスタントとして、こうしたカトリックの誤りを犯したくなかった。人を殺すような君主に仕えたくなかった。しかし新渡戸は、素朴な絶対平和主義者ではなく、国際連盟を通じて国際協力・国際協調が大切だと考えたのですね。こうした内容の講演を、新渡戸は関西学院で行ったというのは興味深いです。


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