■政権交代の意義を改めて考える
藪野祐三『現代日本政治講義』北海道大学出版会
藪野祐三さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。
全体として見通しがよく、必要な情報がコンパクトにまとめられていて、しかも結論に大変共感しました。勇気づけられました。
民主党政権が成立したときに、私たちはもっと寛容に評価してもよかったというのはその通りだと思います。人々の期待が大きすぎて、急激な変化を求めすぎた。それが失望につながった。
政治社会の理想として、日本は二大政党制を築くべきで、そのような拮抗的な体制のもとで、どちらの政党にしても、それほど急激に変化しない諸政策を実施する。そういう政治的な発想が必要ですね。そのためには、たとえ自民党と同じ政策であっても、非自民党に政権をまかせる、という発想があっていいのではないか。政党政治を拮抗させることがもたらすメリットは、きわめて大きいからです。政治権力の運営に緊張感を与えるだけでなく、広く社会のなかに批判的な討議を活性化させて、他の選択肢を見えやすくする。この点について、私たちはもっと理解を深めていかねばならない。
本書の最後は「小国日本のすすめ」となっていますが、原発、九条、自衛隊、安保体制など、体制選択の問題が問われており、思想的な課題がいままで以上に重要になっている、との理解ですね。すべて共感しました。