■自由論のフロンティア:最小結婚制度

 


 

植村恒一郎ほか『結婚の自由 「最小結婚」から考える』白澤社

 

阪井裕一郎さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 

 「最小結婚」というのは、「性愛規範性(amatonormativity)」を含まない、倫理的にみて最も薄いレベルで可能な結婚の制度という意味なのですね。例えば、排他的に愛し合う性愛関係を前提としない家族形態です。最小結婚には、さまざまな形態の家族があるのでしょう。

 これとは別に、そもそも政府が結婚を認めるという、婚姻制度を廃止した方がいい、という主張もあります。婚姻は、政府が認めるのではなく、各種の団体が認めることにする。そのようなアナーキーで複数の制度を認めたほうがいい、という主張ですね。

 もし婚姻が、政府が認めなくても、いろいろな団体が認めるようになるとすれば、その承認の在り方を、法的に調整する必要がありますね。すると結局のところ、婚姻に対して政府が介入しなければならなくなる。だから「最小結婚」を制度化した方がいい、ということでしょうか。

 最小結婚を認める際の論点は、同性婚はもとより、複数婚ですね。これを認めるかどうか。例えば1,000人で結婚するという宗教団体が現れたとして、これを認めると、どのような社会になるでしょうか。興味深いです。結婚の自由について考えるきっかけになりました。

 


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