■保守主義者の部屋はきれい。進歩主義者の部屋は雑然としている。

 



 

伊藤隆太編『国際政治と進化政治学』芙蓉書房出版

 

伊藤隆太様、蔵研也様、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 

 カイメンなどの原生動物、ハチやアリなどの社会性昆虫、ハダカネズミのような哺乳類、などにおいては、特定の上位個体しか、生殖活動を行わないのですね。そしてこのような特性を、「真社会性(eusociality)」というのですね。集団が「超個体」として繁殖する戦略です。こうした戦略は、多くみられる。(80-81)

 もう一つ、

 John T. Jost, Aaron C. Kay and Hulda Thorisdottir (2009) Social and Psychological Bases of Ideology and System Justification, Oxford University Press.

 このジョストの本が紹介されていますが、そのなかで、「保守主義」と「進歩主義」の説明は面白いですね。

 「保守主義者は明るく整理された部屋に国旗を飾り、単純化された世界観を好む。また感染症の危険を重視し、消毒用アルコールを持っている。そして彼らは死の観念を意識することが多く、進歩主義者よりも死を恐れている。・・・これに対して進歩主義者は雑然とした本の多い部屋で暮らし、複雑さ、多様さをそのまま肯定しようとする。壁には世界地図をはり、世界を旅して、各種の異なった音楽を聴く。これらの嗜好は、世界は平和が原則である、そして多様性の満ちた興味深いものであり、探求・探検に値するというヒッピー的な認識に起因すると考えられる。」(123)

 こうしたイデオロギー対立は、生理的レベル、神経機能のレベルで生じている可能性があり、その遺伝率は0.30.6程度だというのですね。保守主義と進歩主義の生理学的な対立が明確であれば、二大政党制による民主的な統治が可能であり、望ましいでしょう。しかし遺伝子レベルで、もしこの二つの間にさまざまなバリエーションがあるとすれば、どうでしょう。多党制がふさわしいでしょうか。もっと知りたくなりました。

 


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