■少子化は資本主義の矛盾なのか

 


 

勝村務『マルクス経済学の論点』社会評論社

 

勝村務さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。

 

 価値形態論からはじまって、地代論、人口減少問題、アフリカ問題、文化経済学、という具合に、現代の具体的なテーマを論じています。本書の構成から、現代のマルクス経済学が、きわめてアクチュアルで、原理と現実を結びつけるという、体系的な知の営みであることが示されていると思います。

 興味深いのは、資本主義の先進諸国が、いずれも少子化を克服できていないこと。これはつまり、資本主義の限界、内在的矛盾ではないか、という論点ですね。社会主義であれば、これをコントロールできるのではないか、という問題関心があるのでしょう。

 私たちは、人口を再生産できる状況にあるけれども、それを意識的に選択しないのか、それとも、人口を再生産できないほど、資本主義の矛盾に取り囲まれているのか。このような議論は、マルクス主義者にもっと展開してほしいです。


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